イギリスで出会った、ちょっと不思議な伝統料理

イギリスでいう「オータム」、つまり秋は、伝統的で、しかも少し奇妙な名前を持つ料理を楽しむのに最適な季節です。フィッシュ・アンド・チップスは有名ですが、「トード・イン・ザ・ホール」や「バブル・アンド・スクイーク」といった料理名は、英語に慣れている人でさえ首をかしげてしまうかもしれません。

雨が増え、空が冬らしい灰色に染まり始めると、イギリスの人々は「コンフォートフード(心がほっとする料理)」を求めるようになります。かつては「味気ない料理の国」というイメージもありましたが、現在ではスーパーに各国の食材が並び、料理番組がテレビをにぎわせ、ミシュラン星付きレストランの数も世界トップ10に入るほどです。イギリス人は、実はとても食を愛する国民なのです。伝統料理も今、新鮮な食材や現代的なアレンジ、代々受け継がれてきた家庭のレシピによって、再び注目を集めています。

 

バンガーズ・アンド・マッシュ

 

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バンガーズ・アンド・マッシュは、ソーセージ(かつて調理中に破裂しやすかったことから「バンガーズ」と呼ばれます)とマッシュポテトを盛り合わせた、とてもシンプルな料理です。しかし、レシピを工夫するのが大好きなイギリスらしく、さまざまなアレンジが加えられます。

オニオングレイビーをかけたり、マッシュポテトにチーズ、スイートコーン、マスタード、キャベツなど、冷蔵庫にある材料を混ぜ込んだりすることも珍しくありません。

特に誇りにされるのがソーセージです。スーパーで手に入るものでも作れますが、街の精肉店にはそれぞれ秘伝のレシピがあり、地域ごとに特徴的なソーセージも存在します。カンバーランド・ソーセージやリンカンシャー・ソーセージなど、ソーセージは一つとして同じではありません。

 

ヨークシャー・プディング

 

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まず誤解を解いておきたいのは、ヨークシャー・プディングはデザートではない、ということです。材料はミルク、小麦粉、卵を使ったパンケーキのような生地ですが、フライパンではなく、非常に高温の油を入れたオーブン皿に流し込み、高温で約20分焼き上げます。すると、生地が勢いよく膨らみ、日本のたこ焼きを思わせる形になります。

ヨークシャー・プディングは、野菜やローストポテト、ローストミートとともに供される、名物料理「サンデーロースト」に欠かせない存在です。

 

トード・イン・ザ・ホール

 

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ヨークシャー・プディングとバンガーズ・アンド・マッシュを組み合わせた料理が、「トード・イン・ザ・ホール」です。もちろん、カエルが入っているわけではありません。

オーブンでソーセージをある程度焼いた後、油を足して温度を上げ、生地を流し込んでソーセージを包み込みます。マッシュポテトや青野菜、オニオングレイビーと一緒に食べる、イギリスの定番料理です。

 

シェパーズパイとコテージパイ

 

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ひき肉、にんじん、グリーンピースをグレイビーソースで煮込み、その上にマッシュポテトを重ねて焼いた料理です。寒い季節に体を温めてくれる、定番のコンフォートフードで、どの家庭にも「我が家流」のレシピがあります。

シェパーズパイとコテージパイの大きな違いは、使われる肉です。シェパーズパイにはラム肉、コテージパイには牛肉が使われます。

 

サンデーロースト

 

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ロースト料理自体はイギリス独自のものではありませんが、「日曜日に皆で集まって食べるサンデーロースト」という習慣は、まさにイギリスならではです。ヨークシャー・プディング、芽キャベツ、ローストポテト、パースニップ、にんじん、リーキ、チポラータソーセージ、カリフラワーのチーズ焼きなど、テーブルは副菜で埋め尽くされます。

中心に置かれるのは、大きな塊肉のカッティングボード。15世紀のヘンリー7世の時代には牛肉が定番でしたが、現在では鶏肉、ラム、豚肉などさまざまです。祝祭シーズンにはガチョウや七面鳥が登場することもあり、ベジタリアンにはナッツローストが選ばれます。

 

 

バブル・アンド・スクイーク

イギリス料理の中でも、最も楽しそうな名前を持つのが「バブル・アンド・スクイーク」かもしれません。これはサンデーローストの残り物を細かく刻み、フライパンで押し固めて焼き上げたパティ状の料理です。表面は香ばしく、中はしっとりと仕上がります。

サンデーローストは、つい食べ過ぎてしまうもの。そのため、残り物が出るのはお決まりです。「バブル・アンド・スクイーク」という名前は、調理中に中の蒸気が逃げようとして立てる音に由来しています。押さえつけすぎず、音を楽しみながら焼くのがポイントです。

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