申宗尚が振り返るケープタウンの海外留学

南アフリカのケープタウンは、世界で訪れるべき場所の上位にランクインし、ニューヨーク・タイムズ紙でも評価されています。中国・天津にある南開大学が、IES Abroad・SAFとの提携により、ケープタウンに数日間短期留学するカスタマイズされたプログラムを初めて企画しました。この取り組みは、学生がこの美しい都市を訪れるだけでなく、独自の教育体験に参加できるようにしようというものです。

中国のSAFグローバルアンバサダーであり、IES AbroadとSAFプログラム参加者の申宗尚が、この旅に出て、経験したことの全体を記録しました。以下、このプログラムがどのように進められたか、この旅行を忘れられないものにした特別な体験とは何だったかを、余すところなく実体験を交じえてご紹介します。

南開大学とIES Abroad・SAFによる、ケープタウンへのカスタマイズされたプログラムの全貌

このケープタウンへの旅は、IES Abroad・SAFとの提携により南開大学が企画したもので、最初に大学を選定してから成功裡に終了するに至るまで、すべてがかけがえのない思い出となりました。この旅路は5月から翌1月まで何か月にもわたり、この間に、ビザ申請を3回行い、無数の書類を用意し、数え切れないほどメールを交わし、北京を訪ね、オンラインでの打ち合わせも行いました。南開大学の国際交流室、SAFパートナー、IES AbroadとSAFスタッフから100日間以上も昼夜を問わずサポートを受けるうちに、この旅への期待は高まりました。

最終的に、それが報われたのです。飛行機が着陸するとき、魅力に富む南アフリカのコミュニティを見つめました。その光景はデジタルゲーム「ザ・シムズ」に似ています。スマートフォンの地球儀アプリを見て、胸が高鳴りました。世界を横断してきたのだと。

高校で、ヴァスコ・ダ・ガマが喜望峰を「発見」したことや、ケープタウンがさまざまな海流の影響を受けて地中海性気候にあることを教わりました。しかし、自国から13,000キロ離れたこの都市に足を踏み入れると、予期していた姿とは違って驚きました。

ケープタウンは期待以上に美しい街です。晴れた日は、穏やかながら輝かしい陽の光が、ターコイズ、エメラルド、サファイアのブルーが混じり合う澄んだ海を照らします。対して、曇りの日は風が吹き荒れ、灰色がかった白い波が激しく打ち寄せます。テーブルマウンテンは、「神のテーブル」とも呼ばれ、その名にふさわしい存在感がありました。山頂からは、緑豊かな渓谷にところどころ白いコテージが点在する、夢のような眺望が開けます。

滞在中、ケープタウン大学、中国建設銀行ケープタウン支店、中国大使館などを訪問しました。これらの出会いは観光の域を超えたもので、ほかでは見ることのできない南アフリカの姿を垣間見せてくれました。友人に話したことがあるのですが、このプログラムがほかと一線を画するのは、単に自然の景観やグルメ料理といったありふれたものでなく、人々や文化に重きを置いていることです。都市と大陸の脈動を真に体験することができるのはすばらしいと思いました。

南アフリカの文化、歴史、社会、それに中国との新たな関係をテーマとした、多くのプログラム講義に参加できました。ケープタウンで得られた情報は予想を上回るものです。活気ある市の中心部には植民地時代の跡が残り、ディストリクト・シックス博物館では、人種排斥と苦難の歴史が語られています。アフリカ文化は教科書で見るよりも奥深いものです。多様な言語、躍動感あふれる音楽やダンス、目をみはる手工芸品、家族や祖国に対する深い愛があります。南アフリカは今なお、所得格差、教育、雇用、治安の問題で苦労しています。講師が描いた風刺画で、南アフリカでの民族間の所得格差を取り上げたものがあり、今でもはっきりと記憶に残っています。

現地の人たちとの交流で、忘れがたい思い出がたくさんできました。誰もが、英語と、アフリカーンス語など現地の言語を流暢に話します。私たちは一緒にフィールドで学び、観光名所を探訪し、黒人のツアーガイドとさまざまなトピックについて議論を交わしました。違いはあっても、同じ志を共有していたのです。親身なドライバー、熱心なSoil for Lifeの代表者、ユーモアのあるIES Abroadセンター・ディレクターのデイヴィッドなどが、皆この土地について貴重な話をしてくれました。