2023年秋、南山大学からフランスのアンジェ・カトリック大学へ留学されていた川瀬さん。
留学を終えての振り返りや、これから留学する方へのメッセージなどを伺いました!
渡航時にいくらぐらい持っていきましたか?また、その金額は十分でしたか?
渡航時は、日本で作成したクレジットカードを2枚(VISAとMaster Cardそれぞれ対応の2種類を持っていきました)、そして手元で管理する現金として空港でユーロに500ユーロ両替して行きました。
また、現地では9割ほどがクレジットカード決済だったので、正直500ユーロも必要ない気がします。
しかし、大学で教材を購入するときに現金での支払いを指定されたり、マルシェに行く時は細かいお金が必要なので、常に20-30ユーロは持ち歩くようにしていました。
留学中、平均して月いくらぐらい使いましたか?
月によってやはり差はあるものの、平均すると日本円で10-12万円ほど使っていたと思います。
内訳としては、週に3回夕飯が出る、というプランだったのでもちろんランチとその他4回の夕飯は自炊をしたり友人と外食をしていました。よって、食費は6~7万円ほどかかっていました。
また、日用品、衣服(硬水での洗濯は服はあまり長持ちしません)、趣味である読書のために本も買っていて、ここに4~5万円使いました。
ただ、到着時の9月、そしてクラス替えの際にはここに教材費が入るので、レベルによりますがプラス1~2万円は見積もった方がいいと思います。
今回の留学を通して自身が成長したな、変わったなと思う面はありますか?
この1セメスターで、自分という人間が全体的に底上げされたと感じます。
前述した通り、もちろん語学力は留学前に比べ格段に上がりました。しかし、友人やホストファミリーに言われて気付いたのは、精神的な成長です。
おしゃべりが大好きな私は、ありがたいことに本当に多くの学生と関わることができました。そしてその留学生の年代は本当にさまざまで、高校を卒業したてだったり、老後にまた勉強がしたくなったからという理由で来たり、中には自分の国は危険なので家族で移り住んできたという生徒もいました。
相談の聞き役に回ることも多かったので、世界中から様々な事情を抱えながら留学をしている人の話を聞きながら、その空気感や感情をできるだけ感じ取る努力をしていました。そのおかげか、見聞がますます広がり物事の捉え方の幅が大きく広がりました。
場合によって柔軟に主観性・客観性を意識できるようになったことも今回得た大きな財産の1つだと感じています。
留学から帰国後の大学生活について教えてください
私が帰国したのは1月末で、ちょうど春休みが始まったので、大学には帰国の手続きをしに1度行っただけです。
帰国後1週間は荷解き、留学レポート、保険のあれこれで一瞬にして過ぎ去りました。そして春からは4年生になるので卒論の構想を練りつつ、大学院のための準備(研究計画書や希望する分野の勉強)、そしてもちろん並行で就活もしているので、楽しみでありながらも今年は本当に大変な1年になりそうです。
あと1年でまた環境が大きく変わるので、後からパンクしないよう、時間がある今のうちに頑張る所存です。
留学中、何かトラブルはありましたか?また、どうやって対処しましたか?
私は日本での生活で風邪や怪我など本当にしたことがなかったのですが、フランスに行った途端ウイルス性の皮膚炎(初めてです)、38度以上の発熱を4回経験しました。
生活リズムは変わっていないのに、食事や気候、水の種類も原因かもしれませんが、1ヶ月を通してずっと体調が悪いなんてこともありました。あまりにひどい時は大学で病院をとってもらえますが、自分でもここまで短期間に体調を崩したことが情けなくて仕方なかったです…。
留学前と比べて、語学力は上がりましたか?
この質問の回答はもちろん、「大幅に上がった」です。
私は大学で英語を専攻しているのでフランス語要素なんて全くありませんでした。ですから、周りの留学生はフランス語・文学専攻で、中には10年以上フランス語を学んできたという生徒もいるほど(日本人にとっての英語のような感覚です)、私はイレギュラーな生徒だったと思います。
そんな中で無謀にも対抗しようとがむしゃらに足掻いた結果、ほぼ0の状態から4ヶ月半で自分の専門分野であれば基本的にフランス語で授業が受けられるぐらいにはなれたかなと感じます。なので、毎日が一瞬で過ぎていきました。
「今から考えるとこれを留学前にやっておけばよかったな~」と思うことはありますか?
やっておけばよかったと後悔しているのは、フランスの暮らしについてもっと詳しく知っておくべきだったということです。
ネットで調べるより、できれば、フランスに留学・滞在したことがあったり、フランス人の方がいれば最高です。
旅行ではなく生活をするわけなので、インターネットにある「旅行をする時に注意すること」とは全く訳が違います。なぜなら、実際にスーパー・薬局で何か買うにも、公共交通機関を利用するにも、地域によって全く違うからです!
私が無知だったことにより常に周りの人に聞いていたので、最初のころは毎日情けなくて泣きそうになりながら生活をしていたからです。
今思えばいい経験ができたと思いますが、先に知っておけばあんな思いはしなかった…と思う自分もいます。
留学を通して発見したことを一つ教えてください。留学先のことでも、日本のことでも、ご自分自身のことでも構いません。
留学中もずっと思っていたことは、行く先々で出会う人たちとの会話がいかに大切で、温かいかです。
私はフランス語が全くできない状態で渡仏したので、最初は意思疎通が全くできないことも多々あり、申し訳ない気持ちで毎日を過ごしていました。
しかし、どんなにフランス語ができなくても、私が出会う人たちはなんとかして伝えてくれようとしました。
ホストファミリー、先生、友人、旅行先のバスの運転手まで、こちらの誠意を表せば、いくらでも助けてくれました。
ですので、発見したというより後々気づいて自分を戒めてくれるのはこの気づきは本当に自分の財産になっていると感じます。
留学を終えた今、今後の目標があったら教えてください
新しい目標というより、留学中から継続して掲げている目標に対する思いがさらに強くなりました。
まず今回の留学には、これからのリサーチに繋げるための言語習得の意図がありました。
ですのでこれからは、ヨーロッパを中心とする地域ごとの歴史から形成されていった現在の人間の暮らしや文化について研究したいと思っています。
また、フランスで数々の世界遺産を目の当たりにしたことで大好きな世界遺産を保護するUNESCOの活動にますます興味が沸き、今後どういったアプローチで関わることができるかを模索しています。
これから皆さんの「後輩」となる学生へメッセージをお願いします!
私もそうだったように、強い憧れや志があって留学に臨む人が多いと思います。
もちろん、自分が思い描いてきた通り楽しくて幸せな時間を過ごしました。しかし、時には信じられないほど悔しくて無力に感じる時期が来ると思います。
そしてその時に絶対に思い出してほしいのが、「頑張っている自分だからこんな思いができるんだ」ということです。
何もしないまま留学生活を終える人もいる中で、自分はこんなに有意義な時間を過ごそうとしている、とやり過ぎなほど自分自身を鼓舞してください。また、もう留学を決めた人は留学に行かせてもらえる環境に深く感謝すること、そしてまだ迷っている人は、自分がなぜ留学を考え始めたか、初心に戻って考えてみてください。
私も皆さんを心から応援しています!
素敵なお写真とレポートをありがとうございます!
「ほぼ0の状態から4ヶ月半で、自分の専門分野であれば基本的にフランス語で授業が受けられるぐらいにはなれた」の、すごすぎませんか!?「英語力はないけど」「フランス語やスペイン語は専攻していないけど」留学してみたい!と思っている方の後押しになるのではないでしょうか。
これから留学される方へのメッセージも温かく力強い言葉を頂いてありがたいです!
これからも応援しています!
川瀬 詠梨
こんにちは、愛知県出身の川瀬 詠梨(えり)と申します!
大学では英語を専攻していますが、言語を学ぶことが大好きです。大学ではバレーボールサークルに入っておりアクティブに過ごすことが大好きですが、読書・映画鑑賞・建築巡りなど、静かに過ごす趣味も大切にしています。歩くことも大好きなので、時間がある時は歩いて外で本を読んだりしています。
今はフランスのアンジェ・カトリック大学で趣味を存分に楽しみながら、日々勉学に励んでいます。