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SAF参加学生の体験談

氏名: 猿丸 美喜 (Miki Sarumaru)
miki_sarumaru_01.jpg 所属大学: 東京大学 社会学専攻
留学先大学: コロンビア大学 (アメリカ)
留学タイプ: 1年間 (学部授業履修プログラム/休学留学扱い)
留学開始時期: 2011年9月
留学時の学年: 3年生

コロンビア大学留学中に、どのような授業を取りましたか?印象的だった授業について教えてください。
世界経済・金融論
世界経済・金融論(Politics of International Economic Relations)のクラスは3000番台の授業でレベルも高く、教授もとても熱意のある方でした。教授の自己満足ではなく、学生が難しいアジェンダについて理解することを目指し、学生との双方向型で授業を進めていることが分かりました。また、授業以外に週1回TA主導の少人数クラスがあり、その場を通じて学生1人1人をフォローアップする体制も整っていました。受講している学生全員がしっかりと授業にコミットしている印象が強く、アメリカの大学と日本の大学の授業の温度差を肌で感じました。
初めにこの授業でとても驚いたのが、授業のスピードが速いためにほとんどの学生が完全なブラインドタッチでノートをとっていたことです。日本の大学ではなかなか見られない光景だったので最初は驚きましたが、自分もタイプスピードをあげる努力をすると同時に、勇気を出して早めに他の学生に助けを求めたことで、心ある学生が毎回メール添付でノートを送ってくれるようになりました。留学中は初めてのことや戸惑うことがたくさんありますが、自分だけでなんとかしようとせず、早めに周りに助けを求めることが大切だと感じました。
学期中は、定期試験以外にペーパーやブックレビューの課題もあり、毎授業のためのリーディング量も相当なものでした。日々多くの学術文献に触れ、ディスピュータブルなトピックについて主体的に思考し、それを文章化する機会をたくさん与えられるので、1学期間一つの授業をしっかりこなすだけでもかなりの力がつくと思いました。

国際関係論
miki_sarumaru_07.jpg国際関係論(Power and Progress in the World Politics)のクラスでは、半学期間くらいかけて、国際関係論の分野という以外は全く縛りのない所から自分で題材を見つけ、自分なりの仮説を立て、それを論証するというリサーチペーパーを経験しました。ペーパーのトピックに合わせてそれぞれの学生に担当のTAがつき、授業外でも個人的な話し合いなどを重ねて、TAから助言をもらいながら試行錯誤して書いていきました。 
日頃から文献を批判的に読んでいなければ自分で新しくトピックを見つけて仮説を立てることは難しいですし、仮説を立てられても、それに関する題材についてどのような学者がどのような意見を述べているのか知識がなければなかなか論証を進めていくことはできません。私は元々社会学専攻で国際関係論の分野についてそこまで明るかったわけではないので、TAの助けなしにはリサーチを進めることができませんでした。論証に行き詰まると有効なデータや文献を紹介してくれたり、夜遅くにメールで質問をしてもすぐに返信してくれたり、本当に丁寧に対応してくれたのがとても心強かったのを覚えています。
何かを覚えたり、試験のために勉強したりするのではなく、自ら問いを見つけて純粋に学問に没頭し、楽しむという体験ができたのがすごく良かったです。

映画学(Early Cinema to the 1970s)
miki_sarumaru_04.jpgこのクラスは1950-70年代の日本映画にフォーカスした映画学の授業でしたが、製作背景にある社会情勢などを踏まえ、様々なことを映画に関連させて勉強しました。教授も日本人で内容も日本のことだからと比較的リラックスしていたのですが、映画学のバックグラウンドもなかったので蓋を開けてみたら逆に難しく感じました。でも、日本のものについて海外で勉強するというのはとても新鮮で面白かったです。コロンビア大学には東アジア研究専門の図書館もあり、日本の図書も日本の大学の図書館と見間違う程たくさん揃っていました。
中間ペーパーでは文献の使用を禁止され、フィルムだけを自分で分析し、それぞれのショットが意味することや監督の主張を読み取る、という今までに経験のしたことの無いスタイルでペーパーを書くことになりました。視覚的に分析したことを英語で言語化するのは個人的にとてもチャレンジングでしたが、新しいことをたくさん学べたのですごく面白かったです。
学期末のペーパーでは勅使河原宏監督の阿部公房『砂の女』について取り上げ、戦後の日本人のアイデンティティの模索について論じたのですが、参考文献を検索すると日本の文献よりもアメリカのものの方が圧倒的に多く、日本でフィルム・スタディが一つの学問としてまだ確立していないことを改めて実感しました。

miki_sarumaru_09.jpg 統計学(Introduction to Statistical Reasoning)
このクラスを受講した理由は、前期に政治の授業でリサーチペーパーを作成した際に仮説を論証する上でたくさんの統計的データを扱う場面に出会い、もっと数字のデータを使いこなせるようになりたいと感じたことにあります。特にこの「Statistical Reasoning」のクラスは文系の私でも問題なくついていける統計学の授業で、統計データを基にしたリサーチ結果や学術論文をいかに賢く読むかといったことを取り扱っていました。
毎週の課題の中には、教科書の章末問題を解くだけでなく、統計的データを使った論文を読んで統計学の観点からクリティサイズするというものや、自分でアンケートを実施して統計をとりプロジェクトをまとめるといった課題もありました。
単純に統計学の知識だけでなく、論文のクリティシズム(批判的な評論)を書くことで多様な分野の文献(政治経済、薬品開発、人間行動観察、心理学等々)に触れることができ、それだけをとってもかなり勉強になりました。
また、クリティシズムに使用する統計学的ツールをたくさん身につけられたのも、とてもためになったと思います。例えば「◯◯パーセントの人がこう言っている」という記事があったとしても、ある公式を使って計算していくと、実際にその記事で言っているパーセンテージは実質的には大した数字ではないといったことが分かるのです。
この授業は「いかに賢い情報消費者になるか」ということがメインテーマだったので、学問だけでなく日々の生活にも役立つ知識が多く、とても満足できる内容でした。
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コロンビア大学は世界トップクラスの大学ですが、コロンビア大学で学んだ率直な感想をお聞かせください。
コロンビア大学は、世界でもトップレベルの大学なだけあり、世界中から本当に優秀な生徒が集まって来ており、日本の大学と比べるとアカデミックな意味でものすごく刺激的な場所でした。
一方で、「アメリカで一番ストレスフル・カレッジ」と言われているように、NYという慌ただしい大都会の中でハードな学業生活に追われて、図書館にこもりっぱなしの学生達が多いのも事実でした。もちろん、そんな中でも人間的に実力があって、学業もその他のことも精力的に取り組んでいるパワフルな学生もたくさんおり、私自身いつも刺激をもらっていましたが、勉強量と精神力に限界を感じている学生も多く見受けられました。
そう考えますと、一概に日米どちらの大学が良いかとは言えませんし、日本の伸び伸びとした大学生活も良いかもしれないとも思いました。ただ、私が一番感じたのは、向こうで、世界から集まった学生達と同じ土俵に立ち、頑張っている日本人の学生が本当に少ないのが悔しい、ということでした。コロンビア大学では、NYという「多様性」の街に立地していることもあってか、中国、韓国など他のアジアからもたくさんの学生が集まっていましたし、彼らは現地の学生と同じ土俵に立って国際社会に溶け込み、その一員としてやっているんだなという印象を強く受けました。

miki_sarumaru_05.jpgまた、NYに1年住んでみて、他のアジアの人々とは違って国際的な多様社会に対してどうも構えてしまう、というのが一般的な日本人の特徴としてあるなというのも強く感じました。彼らのように同じ土俵に立ち、グローバルステージを「訪問する」「体験する」だけではなく、自分自身がそのステージを構成する一員となって、彼らと対等に「混ざる」ことができるようになって初めて、日本人が海外に出ることへの意味が生まれるのではないかと感じました。そしてまた、「ビジターである日本人」でいることが許される環境や、「外からの留学生」へのウェルカム文化が根付いている環境では、なかなか本当の意味で「世界」に溶け込んで、多様性を構成する一つのピース、つまりグローバル人材になることは難しいとも思いました。
そういった意味で、外と内の境界がなく、そこに存在する人は宗教・国籍などを問わず皆同じNY市民という感覚が根付く移民の街NYで、「留学生」という概念など関係なく多様な学生たち皆が同じ土俵に立たされるコロンビア大学で留学生活を送れたことは、とてもラッキーだったと心から思いました。

 
   
Last Updated: 2/3/14